超音波骨強調画像

当院にはメディソン社の超音波断層装置 ACCUVIX V-20 がありますが、この装置には DMR(ダイナミックMR)という機能がついており、特殊フィルタリング 機能によりコントラスト分解能が格段に向上するもので、DMRが効いた状態でさらにフォーカスやカラーの設定を変えていくと、骨組織が強調された画像を自分の好みで作り出すことが可能です。私はこの画像設定を「骨強調画像」として、「超音波による骨盤計測」に役立てています。画像のカラーは白色ではなく黄色に設定して骨の辺縁が目立つようにし、さらに多段階フォーカスに設定して深部まで鮮明に描出できるようにします。子宮壁や直腸などの軟部組織における音響学的境界も幾分強調はされますが、骨組織が格段にきわだって強調されますので、超音波による骨盤計測がやりやすくなります。下図がDMRを用いた骨強調画像設定による骨盤縦断像です。この設定を装置に保存しておくことができます。私はこの設定を「BONE」と名づけております。


骨強調画像設定「BONE」

恥骨や仙骨の辺縁像が鮮明に描出されます。この骨強調画像を使えば、従来よりも正確に骨盤計測を超音波検査で診断できるようになります。
この症例は、UOCが11.15cmでかなり短い妊娠8ヶ月の初産婦さんです。骨盤はせまいですが、骨盤開角が90度くらいありますので、適切に妊娠中の生活指導をしていけば、経膣分娩できて、しかも難産を回避することが可能です。
しかし、臨月になっても浮遊児頭の状態のまま、児頭が大きく成長してしまいますと児頭骨盤不適合の疑いが強くなり、予定帝王切開をおすすめする場合もあります。

ところでメディソンジャパン社が消失いたしました。・・・GE社の装置にはDMRが無いようです。GE社もDMRを導入してほしい。

非常に広い骨盤の例

下図は妊娠28週、非常に広い骨盤の妊婦さんの骨盤入口部縦断像です。骨強調画像です。
UOCは13、82cmあり、骨盤開角も90度以上あり、非常に広い骨盤の方です。
中にはUOCが14~15cmもある妊婦さんもおられます。

CPDを疑い帝王切開を選択した症例

下図の症例は、妊娠37週、28歳、里帰り分娩希望の初産婦さんの骨盤入口部縦断像です。骨強調画像です。
UOCは11.18cmでかなり短く、BPDは9.2cmでした。浮遊児頭でした。子宮口は未開大。頚管は熟化不全。
UOC―BPDは2cm 未満でした。家族・本人に説明し、同意を得て、妊娠38週での帝王切開を選択しました。

こうした症例は、自然経過にまかせますと、大抵の場合、予定日を超過し、胎児は大きく成長していき、頚管未熟 なまま破水するといったケースが多いような気がします。こうしたケースで、事前に骨盤がせまいという情報が無いまま、 陣痛促進剤が使用されるのは大変に危険な事と思います。