妊娠中の食事 (2026年改訂)
当院は2024年に分娩の取り扱いを終了しました。2024年まで、当院で指導していた妊娠中の食事の方法について、再度、掲載いたします。参考にしてください。
1.「精製糖質」摂取はほどほどに。
糖質をとりすぎると太りますし、危険な食後高血糖をまねき、妊娠中の様々な病気の引き金となります。さらに、過剰な糖を代謝するためにビタミンやミネラルが浪費(ろうひ)されてしまいます。
炭水化物から食物繊維やそのほかの栄養分を取り除き、100%近く糖質に加工したものを「精製糖質」といい、砂糖類・果糖ブドウ糖液糖(コーンシロップ)や、精白された小麦粉です。白米も精製糖質ですが、日本人の主食ですので適量摂るのはOKです。お菓子・甘い清涼飲料水などは危険な食後高血糖・血糖値の乱高下を招きます。 パンや麺類なども小麦から精製されており、食べ過ぎると食後高血糖を招きます。 妊婦さんは生理的に食後高血糖になりやすく、精製糖質の食べ過ぎは妊娠糖尿病の原因となります。
食物繊維は海藻・雑穀・野菜・キノコ・イモ・豆類などに多くふくまれており、腸内環境を整える効果があります。
2.「植物油脂」は避けるべき。ジヒドロ型ビタミンK1が有害?!
植物油脂とはキャノーラ油、パーム油、大豆油、サラダ油などに代表される植物の種を搾り化学薬品を使って食品工場で製造した食用油です。
その製造過程で水素添加という工程により、有害なジヒドロ型ビタミンK1が発生し、この物質がビタミンKの有益な作用をさまたげ、妊娠糖尿病・妊娠高血圧・産科異常出血の原因となっている可能性があります。これを証明する研究調査はまだ無いようですが、最近の、妊娠糖尿病・妊娠高血圧・産科異常出血の増加は、これが原因のひとつではないかと私は疑っています。
妊婦さんは、揚げ物・炒め物・マーガリン・ショートニング・マヨネーズ・オリーブオイルなどの植物油脂は減らすべきです。安いアイスクリーム・ケーキなどにもバターの代りに使用されています。食べ過ぎますと、血糖を下げるインスリンの効果がじわじわと妨げられ、結果的に妊娠中、高血糖・高血圧をまねく原因となりますし、ビタミンKの有益な作用を邪魔するジヒドロ型ビタミンK1を摂取することになります。
揚げ物を減らすか、油の量をへらす調理の工夫が必要です。従来から、油っこい食事が糖尿病の原因とされており、現代の何でも油で揚げるという食習慣は動脈硬化・高血圧・糖尿病の原因となるようです。 特に油脂と精製糖質のコラボ食品の多食は肥満・糖尿病・高血圧をまねきます。(フライドポテト・ポテトチップ・かりんとう・ドーナッツなど)
「あげもの・いためもの・あまいもの」はへらしましょう。
3.タンパク質の多い食品をへらさないで。
妊娠前からタンパク質の摂取が少ない女性がほとんどです。
妊娠して、最も重要な栄養素はタンパク質です。
卵・肉・魚・豆腐・チーズなど、良質のタンパク源は減らさず食べましょう。
4.鉄分・マグネシウムの摂取が重要です。
妊娠・出産により、鉄分 ( 貯蔵鉄 )がたくさん消費されます。鉄不足は妊娠貧血や、産後うつや不妊症の原因となります。したがって、妊娠中は鉄分の含まれる食物を普段よりも多く摂る必要があります。 その他、タンパク質・ビタミン・ミネラルも不足しがちになりますので、食事による補充が必要です。 鉄以外のミネラルでは、マグネシウムの摂取が重要です。マグネシウム不足は妊娠糖尿病発症の原因となるようです。マグネシウムは海苔や昆布などの海産物・雑穀・野菜に多く含まれます。
④ ビタミンD・ビタミンKの摂取が重要です。
大半の妊婦さんが妊娠前からビタミンD不足状態です。妊娠するとさらに減り、欠乏状態となり、産後の健康被害をまねきます。特に日照不足の冬季は、放置すると妊娠末期には超欠乏状態となるようです。魚・キノコにビタミンDが含まれます。 →詳細は別記事「ビタミンD不足について」をご覧ください。
ビタミンKは納豆などの発酵食品に多くふくまれ、妊娠糖尿病・高血圧・産科異常出血を予防する効果があります。妊婦さんにとって非常に重要なビタミンです。青野菜・青汁にはビタミンK1が含まれ、腸内細菌により有益なビタミンK2となります。(納豆は納豆菌がK2をつくります。) 前述のジヒドロ型ビタミンK1は、腸内でビタミンK2となることはなく、困ったことにビタミンKの有益な作用を妨害するとされています。 妊娠前のBMI (体格指数)によって、注意点が変わってきます。
ご自分のBMIを計算してみてください。計算方法は BMI =体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です。 BMI 16未満 →やせすぎ。 17〜18.5→ やせぎみ。 BMI22が平均的。 25以上が肥満。 30以上は超肥満。 (日本産婦人科学会が提示する2021年度の「妊娠中の体重増加指導の目安」を参考にしています。)
妊娠前がBMI18未満の方(やせている方)の食事
最初は普段通りに食べます。食欲が出てきたら、食べる量を適当に増やしてもかまいません。妊娠中の体重増加は12〜15kgまでに抑えましょう。 甘いジュースやお菓子など砂糖の過剰摂取は危険で急激な食後高血糖をまねきますので、お腹の赤ちゃんの健康によくありません。食欲にまかせて、甘いものをたくさん飲んだり食べたりする事はやめましょう。会話を楽しみながらおやつとして適量を食べるのはOKです。夕方以降、甘いものをたくさん食べると太る原因になります。太ると過剰に体脂肪がくっついてしまい、妊娠前の自分にもどれなくなります。 ご飯を2杯以上、パンを1~2斤以上食べる事はやめましょう。ご飯やパンなどの主食には糖質が 多く含まれており、食べ過ぎると体脂肪として蓄積され、太る原因となります。 肉、魚、卵、チーズ、大豆などの料理をおいしく食べて、ストレスのない妊娠生活をおくりましょう。
妊娠前がBMI22前後の方 (ふつう体重の方)の食事
普段通りに食べるのが基本です。妊娠中の体重増加は8~12kgまでに抑えましょう。つわりの時期がすぎてくると、ご飯がとてもおいしくなってくるようです。ご飯1杯(150g)には糖質が55gふくまれています。食欲にまかせて多めに食べると確実に太ります。余分な糖質は脂肪に代謝され、体脂肪として蓄積されるからです。産後に元の体重にもどれなくなりますし、難産や妊娠糖尿病などのトラブルを招きます。
妊娠中のご飯はやや控えめの1杯重さ100〜120g程度におさえるのが理想的です。その分、肉、魚、大豆、卵、チーズなどのお料理をふやしてもかまいません。
野菜・海藻・キノコなど食物繊維・ミネラル・ビタミンの多い食材をきちんと食べることも重要です。食物繊維は血糖上昇を抑制します。しかし、市販の野菜ジュースは ショ糖が多く含まれており、適量(コップ1杯程度)にとどめ、野菜の代わりにたくさん飲むことはやめましょう。牛乳やフルーツジュースも1日コップ一杯までにしてください。(乳糖や果糖という糖質がふくまれています。)
砂糖や果糖ブドウ糖液糖の摂りすぎは最も危険です。甘いジュース、サイダー、お菓子など甘いものを食欲にまかせて食べ過ぎないようにしてください。フルーツは食物繊維・ビタミン・ミネラル・その他の栄養素が豊富にふくまれており、適当に食べるのはOKです。
妊娠前BMI25以上の方 (肥満気味の方)、妊娠中にBMI28を超えた方の食事
元々太っている方は妊娠中、最初から精製糖質制限および植物油脂制限をする必要があります。食後の危険な高血糖を招く原因は糖質のみです。特に精製糖質は即座に吸収され血糖を乱高下させます。 油脂そのものは血糖をあげませんが、特にサラダ油など植物油脂を使った揚げ物などの油っこい料理は厚い衣に糖質が多くふくまれています。おいしくて、ご飯をついつい食べ過ぎてカロリーオーバーになりやすいので結果的に太る原因となります。そして前述した有害物質ジヒドロ型ビタミンK1 が植物油脂に含まれているらしいので糖尿病・高血圧が心配です。
元々、太っている方は体脂肪として胎児のエネルギー源をたくさん蓄積しています。 胎児はこれをうまく利用して育ちます。精製糖質を摂りすぎますと、余った糖質は体脂肪となり、さらに太ってしまいます。くりかえしますが、過剰な精製糖質摂取による食後高血糖は危険なのです。
減らした精製糖質のかわりに良質の脂肪を適当に摂り、悪い油料理は避け、適量の炭水化物とタンパク質・ビタミン・ミネラルをしっかり摂れば、妊娠中に適度に糖質制限しても問題ありません。
妊娠前BMI25以上の方では、ご飯を徐々に重さ80gくらいまで抑えるように指導しています。そのかわり、野菜・根菜・海草・キノコなどは勿論のこと、肉、魚、卵、チーズ、大豆などを使った料理は増やしてもかまいません。意外ですが、適量のバターはOKです。(バターは植物油脂ではありません。)適当量、脂肪を増やしてもよいのです。ただし、植物油脂の摂りすぎは、動脈硬化・糖尿病の原因とされており、特に揚げ物や炒め物を増やすのは危険です。「蒸す」か「茹でる」などの調理方法を選択しましょう。人工油(マーガリン・ショートニング)や古い酸化した食用油の頻回使用はやめましょう。身体に良いとされているオリーブオイル・エゴマ油などであっても、多用するのはさけましょう。妊娠中の体重増加を6~9kgくらいに抑えるようにします。
妊娠前BMI30以上の方(超肥満)では、ご飯を重さ70gくらいにおさえるロカボ食(山田悟医師が推奨しているものです。)をおすすめします。体重増加目標は6kg以内です。
パン・パスタなどの小麦系食物・麺類などは糖質が多く含まれますので、食べる量を減らします。濃い味付け、揚げ物、濃い調味料での加工食品はなるべく避けましょう。
妊娠中に太りすぎてBMIが28に近付いてくる方も、その時点から精製糖質制限および植物性油脂制限が必要となります。
もっとも危険なものが、砂糖などの糖分を多く含んだ飲み物です。ジュース、サイダー、コーラなどは急激に血糖値をあげますので飲まない方が賢明です。果糖ブドウ糖液糖など危険な人工甘味料が含まれており、即座に吸収され、病的に血糖値を乱高下させますので妊娠中は危険です。食後の急激な高血糖は母体や胎児・胎盤の血管を痛める原因となります。
お菓子、菓子パン、甘いフルーツの食べ過ぎも要注意です。しかし、固形のお菓子(クッキーとかビスケット)やフルーツを、間食として、休憩時間にお茶しながら、適量食べるのはOKです。ただし、砂糖は歯にくっつきやすく虫歯の原因となり,飴玉などをなめ続けるのは危険です。食後の歯磨きを忘れずに。 精製糖質の過剰な摂取は歯周病の原因となります。
最近の研究で、妊婦さんが歯周病を患っていると、歯周病菌による「歯原性菌血症」がおこり、早産や低体重児出産の原因となることがわかってきました。歯周病菌は歯周ポケットの病巣から容易に血液中に入り込み、血液中でも増殖すると言われています。妊娠中は歯周病になりやすいのです。やわらかく調理された糖質は口腔内細菌の格好のエサとなります。特にほっかほっかのご飯やサツマイモなどの柔らかいアルファでんぷんは唾液アミラーゼで麦芽糖に分解され悪玉細菌のエサになり、歯根部の虫歯の原因となります。
加熱してやわらかく調理された糖質は歯根にとって大敵ということになります。 精製された白米のあったかご飯や加熱されたパンなどのやわらかい糖質を食べた後は、特にしっかりと食後の歯周病対策(正しい歯磨き)をしましょう。
妊娠糖尿病と診断された方の食事
当院は妊娠糖尿病の食事療法については平成29年度から、「低カロリー食療法」をやめ、「ゆるやかな糖質制限食療法」に変更しました。
妊娠糖尿病の治療食として「ゆるやかな糖質制限食」を採用し始め、7年以上経過してきましたが、妊娠糖尿病の大半で食後高血糖をコントロールできています。その詳細については別記事、「妊娠糖尿病にはロカボ食」をご覧ください
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| 平日 | 受付時間 午前9時~12時まで 午後2時~5時まで |
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| 木曜日午後 | 木曜日午後の外来診療は休診です。 午前中は診療します。 |
| 土曜日 | 受付時間 午前9時~12時まで 午前中のみの診療です。 |
| 日・祭日 | 休診 |
